マスコミ対応

SISU News Center, Office of Communications and Public Affairs

Tel : +86 (21) 3537 2378

Email : news@shisu.edu.cn

Address :550 Dalian Road (W), Shanghai 200083, China

関連情報

中国の急成長する中国のAI事情


05 September 2026 | By 郑卓 | SISU

「今日の夕飯、何を作ろう?」「このメール、もう少し丁寧に書けないかな?」「来週の旅行プランを考えてほしい!」

こんな日常のちょっとした悩みを、最近の中国ではAIに相談する人が増えている。以前なら検索エンジンで調べたり、友達に聞いたりしていたことも、今ではとりあえずAIに聞いてみる。特に若者の間では、AIはすでに珍しい技術ではなく、スマートフォンに入っている便利なアプリの一つになりつつある。

実際、中国インターネット情報センターの発表によると、2026年上半期の時点で、中国の生成AI利用者は7億人を超えたという。ほんの数年前まで、AIといえば専門家が研究する難しい技術というイメージが強かった。それが今では、大学生から会社員まで、さまざまな人が日常的に利用するようになっている。

中国のAIブームを語るうえで、外せないのが「DeepSeek(ディープシーク)」だろう。2025年初め、中国企業が開発したこのAIの新しい推論モデルが世界中で話題になった。高い性能を持つモデルを公開し、海外の大手AI企業に対抗できる中国発の技術として注目を集めたのである。中国国内でも大きな反響を呼び、それまでAIにあまり興味がなかった人たちまで、DeepSeekを試すようになった。

もちろん、中国のAIはDeepSeekだけではない。アリババの「千問(Qwen)」、バイトダンスの「豆包(Doubao)」、月之暗面の「Kimi」など、さまざまなサービスが登場している。特に豆包は、気軽に会話できるAIアシスタントとして人気がある。質問に答えるだけでなく、文章の作成や画像生成、外国語の学習などにも利用できる。各社が次々と新しい機能を追加するため、しばらく使っていなかったアプリを開くと、いつの間にかできることが増えていて驚くこともある。

大学生にとっても、AIはかなり身近な存在だ。例えば、難しい論文を読むときに内容を要約してもらったり、外国語の文章を添削してもらったりする。就職活動では、履歴書の表現を直してもらったり、AIに面接官役をお願いして練習したりする学生もいる。以前なら何時間もかかっていた作業が、短時間で終わることもあるのだから、使いたくなる気持ちも分かる。

ただし、AIがいつも正しいとは限らない。自信満々に間違った答えを返してきたり、簡単な質問なのに長々と説明を始めたりすることもある。せっかく文章を直してもらったのに、今度は妙に堅苦しい表現になってしまい、結局自分で書き直す。そんな経験をした人もいるだろう。便利なのは確かだが、AIの答えをそのまま信じてしまうのは少し危険だ。

最近では、文章だけでなく、画像や動画を作るAIも注目を集めている。中国の動画プラットフォーム「快手」が開発した「可霊(Kling AI)」は、その代表例の一つだ。短い文章や画像から動画を生成できるため、専門的な撮影技術がなくても、映画のワンシーンのような映像を作れる。SNSでは、動物が人間のように料理をしたり、歴史上の人物が現代の街を歩いたりするユニークなAI動画も見かける。以前なら映像制作の知識が必要だった表現を、一般の人でも気軽に試せるようになった。

こうした技術は企業の仕事にも入り込んでいる。例えば、ネットショップの商品紹介文を書いたり、広告用の画像を作ったり、会議の内容をまとめたりする作業にもAIが使われている。中国ではネット通販やショート動画の市場が大きいため、AIでコンテンツを効率よく制作できることは企業にとって魅力的だ。実際、生成AIの利用目的も、単なる質問への回答から画像・動画制作、資料作成などへと広がっている。

さらに面白いのは、中国ではAIがロボットの世界でも大きな話題になっていることだ。2025年4月、北京では人型ロボットが参加するハーフマラソン大会が開催された。2026年には参加規模がさらに拡大し、100を超えるロボットチームが集まった。人間と同じように走るロボットの姿は、まるでSF映画のようだ。もちろん、まだ転んでしまうロボットもいるし、人間のように何でもできるわけではない。それでも、ロボットが実際に街の道路を走る光景には、技術の進歩を感じさせられる。

一方で、AIの急速な普及を心配する声もある。例えば、AIによって一部の仕事が減ってしまうのではないかという不安だ。また、AIで作った写真や動画が本物と見分けにくくなり、誤った情報が広がる危険性も指摘されている。学校では、学生が提出したレポートをどこまで本人が書いたのかという問題もある。便利な技術だからこそ、どこまで利用してよいのか、社会全体で考える必要が出てきている。

では、日本のAI事情はどうなっているのだろうか。

日本でも生成AIの利用は急速に広がっている。総務省の2026年版『情報通信白書』によると、2025年度の調査では、生成AIを使った経験のある人が約59%に達した。前年の調査から大きく増えており、ChatGPTなどを仕事や勉強に活用する人も珍しくなくなった。ただし、中国やアメリカなどと比べると、利用頻度はまだ低い傾向にあるという。

日本企業も独自のAI開発を進めている。例えば、NTTが開発した「tsuzumi 2」は、日本語の理解力や情報の安全な取り扱いを重視したAIモデルだ。日本企業では社内文書や顧客情報を扱う機会が多いため、こうした技術への期待も大きい。また、日本では少子高齢化による人手不足が深刻になっており、介護や医療、行政サービスなどでAIをどのように活用するかも重要なテーマになっている。

中国では一般向けのAIアプリが次々に登場し、幅広い利用者を獲得している。一方、日本では企業や行政で安心して使えるAIの整備も進んでいる。もちろん、両国ともさまざまな分野に取り組んでいるが、それぞれの社会が抱える課題によって、注目される使い方にも違いが見られるのは興味深い。

数年前まで、AIが日常生活にこれほど入り込むとは想像しなかった人も多いだろう。今では、中国の大学生が勉強や就活の相談をAIにするのも、特別なことではなくなってきた。

もっとも、AIが便利になったからといって、人間の悩みがすべて解決するわけではない。夕飯のメニューを十種類も提案してもらったのに、結局どれを食べるか決められない。そんなところは、これからも変わらないのかもしれない。

共有:

マスコミ対応

SISU News Center, Office of Communications and Public Affairs

Tel : +86 (21) 3537 2378

Email : news@shisu.edu.cn

Address :550 Dalian Road (W), Shanghai 200083, China

関連情報