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中国の大学生は秋になると大忙し
10 September 2026 | By 郑卓 | SISU

9月になると、中国の大学ではちょっと不思議な光景が見られる。普段は授業やゲームに忙しい学生たちが、急にスーツを着て面接の準備を始めたり、パソコンの前で真剣な顔をしていたりする。友達同士の会話も、「昨日のゲーム、どうだった?」から「どこに応募した?」「面接の結果、もう来た?」へと変わっていく。
その理由は、中国ならではの就職活動「秋招(チウジャオ)」にある。
「秋招」とは「秋季招聘」の略で、主に翌年卒業する大学生や大学院生を対象とした秋の新卒採用のことだ。日本にも新卒採用の仕組みはあるが、中国では特に秋の採用シーズンが重要視されている。「金九銀十」という言葉もあり、9月と10月は就職活動の黄金期と呼ばれる。ただし、最近では採用スケジュールがどんどん早まり、7月や8月から選考を始める企業も増えている。学生にとっては、夏休みが終わる前から就活が始まってしまうわけだ。
秋招が始まると、学生たちはまず企業の採用サイトに登録し、履歴書を提出する。中国ではこれを「網申(オンライン応募)」と呼ぶ。企業によって入力項目が違うため、何度も同じような情報を入力しなければならないこともある。せっかく一時間かけて書いたのに、最後の送信ボタンを押した瞬間にエラーが出たら、もう泣きたくなるだろう。
さらに面白いのが、「海投」という言葉だ。文字通り、海に向かって網を投げるように、数多くの企業に応募することを意味する。人気企業では競争が激しく、応募しても書類選考すら通過できないことがある。そのため、最初から数十社に応募する学生も珍しくない。「とりあえず応募して、通ったら考えよう」という考え方もよく見られる。もちろん、自分の希望に合った企業を慎重に選ぶ学生もいるが、秋招では応募数がいつの間にか増えてしまうことも多い。
また、中国の就活では「内推」という言葉もよく耳にする。これは企業の社員などを通じて推薦してもらう仕組みで、SNS上では社員が推薦用のリンクを公開していることもある。ただし、内推をもらったからといって、必ず面接に進めるわけではない。結局は自分の実力と企業との相性が重要になる。
無事に書類選考を通過しても、まだまだ安心はできない。筆記試験、適性検査、グループディスカッション、そして何回もの面接が待っている。最近ではAIによる動画面接を導入する企業もあり、画面に向かって一人で質問に答えることもある。人間の面接官なら相手の表情を見ながら話せるが、AI面接ではそうもいかない。誰もいない部屋でカメラに向かって自己PRをするのは、慣れないうちはなかなか気まずいものだ。
秋招の忙しさは、選考が重なる時期に最高潮を迎える。朝はA社の筆記試験、午後はB社のオンライン面接、夜はC社の応募書類を作成する。しかも、学生なのでもちろん授業や卒業論文もある。大学の寮で面接を受けようと思っても、ルームメートがゲームをしていたり、周りが騒がしかったりすることもある。静かな場所を探すだけでも一苦労だ。
そして、就活中の学生を最も悩ませるのは、試験そのものよりも結果を待つ時間かもしれない。面接では手応えがあったのに、一週間たっても連絡が来ない。SNSを開くと、同じ企業を受けた人が「内定をもらいました!」と投稿している。思わず自分のメールをもう一度確認してしまう。中国の就活生の間では、選考結果がなかなか出ない状態を「泡池子(候補者プールに入れられたまま待つこと)」と表現することもある。合格なのか不合格なのか、はっきりしないまま待ち続けるのは、なかなかつらい。
もちろん、内定をもらえたら、それですべて解決というわけでもない。中国は国土が広く、就職のために別の都市へ引っ越す学生も多い。北京、上海、深圳、杭州などには有名企業が集まっているが、家賃や生活費も決して安くない。「給料は高いけど、家賃を払ったらあまり残らないかも……」と悩むこともある。企業の知名度を取るか、給料を取るか、それとも地元での暮らしを選ぶか。内定を手にして初めて、こうした現実的な問題に直面する学生もいる。
秋招で希望する仕事が見つからなかった場合には、翌年の「春招(春季招聘)」に挑戦する道もある。ただし、人気企業の採用枠は秋のうちにかなり埋まってしまうこともあるため、学生たちはどうしても秋招に力を入れがちだ。
こうして見ると、中国の秋招はまるで大学受験の第二ラウンドのようにも思える。毎日企業の情報を調べ、試験を受け、結果に一喜一憂する。昨日まで一緒に遊んでいた友達が先に内定をもらうと、少し焦ってしまうこともあるだろう。
それでも、数か月の就職活動を通じて、学生たちは少しずつ社会人になる準備を進めていく。秋のキャンパスで、パソコンを抱えて面接場所を探している学生を見かけたら、その人もきっと秋招の真っ最中なのだろう。声をかけるなら、「面接、頑張ってね!」が一番喜ばれるかもしれない。
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