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「けん玉」はただの懐かしいおもちゃ?知られざる「剣と玉」の物語


31 December 2025 | By 姚雨彤 | SISU

日本の伝統文化において、木工玩具は独自の地位を築いている。その中でも「けん玉」は、単なる児童向けの玩具という枠を超え、工芸品としての美しさと、スポーツとしての競技性を兼ね備えた稀有な存在だ。

私たち中国人の視点から見ると、「剣」と「玉」という漢字の組み合わせは、非常に強い意味を持つ。「剣」は武力や強さを象徴し、「玉」は高潔な精神や徳を表すからだ。この二文字が並ぶことで、それは単なる遊び道具ではなく、あたかも武術の修練具のような重厚な響きを帯びる。

事実、けん玉の技法は極めて武道的である。剣先に玉を入れる動作には、高い集中力と手首の柔軟性、そして瞬発力が求められる。これは、中国武術における武器の操作や、身体制御の概念と通底するものがあるといえよう。

けん玉の起源については、16世紀のフランスで流行した「ビルボケ」であるという説が有力であり、それがシルクロードや海路を経て江戸時代の日本に伝わったとされる。

しかし、ここで見逃せないのは中国文化との親和性だ。中国には古来より「空竹」や、紐で繋がれた錘を操る「流星錘」のような雑技・武具が存在した。重力と遠心力を利用して物体を操るという発想は、ユーラシア大陸の東西で形を変えながら共有されてきた文化遺産といえる。

直接的な起源が中国になかったとしても、日本のけん玉に見られる精緻な木工技術や、漆塗りの美意識は、中国の伝統工芸とも響き合うものである。私たち中国人が日本のけん玉を手に取った際に懐かしさを覚えるのは、こうした素材への親近感や、職人技術への共通した敬意があるからに他ならない。

けん玉の真髄は、手先ではなく膝にあるとされる。上級者の挙動を観察すると、玉の着地に合わせて膝を柔軟に使い、衝撃を吸収していることがわかる。これは、太極拳などの中国武術において「勁」を通すために下半身を安定させる身体操作と酷似している。

また、技を成功させるために必要な精神状態は、日本の「禅」の境地そのものである。雑念を払い、無心で対象と向き合うプロセスは、動的な瞑想とも呼べるだろう。精神と身体の調和を重視する東洋哲学の思想が、この小さな玩具の中に凝縮されているのである。

興味深いことに、現在のけん玉は日本の伝統という枠組みを超え、ストリートカルチャー「KENDAMA」として世界的な進化を遂げている。

米国を発端に、音楽に合わせてアクロバティックな技を競うスタイルが確立され、それは中国の若者文化にも波及している。中国のSNSである微博や抖音では、日本の伝統的な意匠とは異なる、現代的でカラフルなデザインのけん玉を操る若者たちの姿が散見される。これは、日本発の文化がグローバルな文脈で再解釈され、逆輸入の形でアジア全体に新しいブームを巻き起こしている好例である。

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