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森鷗外:文豪の意外な素顔と心温まる逸話


16 June 2024 | By 劉康尭 | SISU

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森鷗外は明治時代を代表する文豪であり、医師や軍人としても活躍した多才な人物です。その真面目で知的な印象から、厳格な人だったと思われがちですが、彼の人生にはユーモアや興味深い逸話が数多く存在します。今回は、森鷗外の意外な一面を垣間見ることのできる逸話をご紹介しましょう。

森鷗外といえば、日本初のドイツ文学翻訳者としても知られていますが、彼がドイツ留学中に体験した出来事の一つが印象的です。留学中、鷗外はドイツ語を完璧に習得しようと熱心に勉強していましたが、ある日、現地の女性から「あなたのドイツ語はまるで機械のようだ」と指摘されたそうです。この指摘を受けて鷗外は大変ショックを受けましたが、同時にその言葉を糧にし、より自然な言葉遣いを身につける努力をしたと伝えられています。彼の真面目さと向上心がよく表れたエピソードです。

また、鷗外は非常に家族思いな人でもありました。彼の長女である茉莉(まり)はのちに作家となり、『父の帽子』というエッセイで鷗外の素顔を描いています。この中で茉莉は、鷗外が毎日決まった時間に家族とともに過ごし、どんなに忙しくても夕食の後には必ず子供たちと遊ぶ時間を取っていたことを語っています。特に、彼が子供たちに即興で童話を語るのが得意だったという話は微笑ましいものです。鷗外の創作力は文学だけでなく、家庭生活にも活かされていたのでしょう。

一方で、鷗外の几帳面さにまつわる逸話も有名です。彼は執筆の際、原稿用紙の文字の位置や余白まで細かく気にしていたと言われています。さらに、彼の書斎はいつも整理整頓されており、書類や本が一冊たりとも乱れることがなかったとか。その一方で、家族が彼の書斎に入ることには非常に寛容で、子供たちがいたずらをしても怒ることはなかったと言います。几帳面さと寛容さを併せ持つところに、鷗外の人間的な魅力が感じられます。

文学界での活動に加え、鷗外は軍医としても重要な役割を果たしました。彼が軍医総監として軍医制度の近代化を進めた際、関係者たちはその仕事ぶりに驚嘆しました。彼は非常に効率的に業務をこなす一方で、文豪としての活動を一切妥協しませんでした。日中は軍医として働き、夜には執筆を続けるという生活を送っていたのです。これを可能にしたのは、彼の鉄のような意志と徹底した自己管理能力だったのでしょう。

そんな森鷗外ですが、彼自身は自分の人生をどこか茶目っ気を持って捉えていた節があります。彼の晩年の作品には、自身の過去や家族についてユーモラスに語るものも多く、読者に深い感銘を与えています。鷗外は生涯を通じて、文学と医療、そして家庭という三つの柱を大切にしながら、その間に起きる出来事を一つひとつ丁寧に受け止めてきたのです。

森鷗外の逸話は、その人間味あふれる性格と、多岐にわたる才能を示すものばかりです。彼の作品を読む際には、これらのエピソードを思い浮かべながら、文中に潜む彼のユーモアや人柄を探してみると、また一層楽しめるかもしれません。

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