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日本の雅楽:千年の音色とその魅力
01 May 2024 | By 劉康尭 | SISU
日本の伝統音楽の中でも、最も古く、神秘的な魅力を持つ「雅楽(ががく)」は、日本の文化遺産として大切に受け継がれてきました。この音楽は単なる芸術ではなく、古代から日本の宮廷儀式や宗教行事に深く結びついています。この記事では、雅楽の起源や特徴、そして知られざる逸話を交えながら、その魅力について紹介します。
雅楽は、5世紀から9世紀にかけて、アジア大陸から日本に伝わった音楽や舞踊が基になっています。特に中国や朝鮮半島から伝わった「唐楽(とうがく)」や「高麗楽(こうらいがく)」、さらにインドや東南アジアの影響を受けた音楽が融合し、日本独自の形式へと発展しました。これらの音楽は、主に天皇や貴族の宮廷で演奏され、儀式や祝宴を彩りました。
日本に取り入れられた雅楽は、仏教や神道の儀式にも深く結びつきました。たとえば、春日大社や伊勢神宮の祭礼では、神々への奉納として雅楽が演奏されます。このように、雅楽は音楽でありながら、神聖なコミュニケーションの手段とも言えます。
雅楽は、大きく分けて「管弦(かんげん)」「舞楽(ぶがく)」「歌謡(かよう)」の三つのジャンルに分類されます。
管弦は、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)といった管楽器を中心に演奏されます。これらの楽器は、それぞれ独特の音色を持ち、笙の「和音」、篳篥の「メロディ」、龍笛の「装飾音」が一体となって、雅楽特有の神秘的な響きを生み出します。
舞楽は、音楽と舞踊が融合した芸術形式で、華やかな衣装を身にまとった舞人が、優雅で緩やかな動きを見せます。有名な演目には、「蘭陵王」や「延喜楽」などがあり、それぞれに物語やテーマが込められています。
歌謡は、言葉と旋律を組み合わせたもので、主に神道や仏教の儀式で歌われます。「越天楽今様(えてんらくいまよう)」など、後世の日本音楽に影響を与えた楽曲も多く含まれています。
雅楽には数多くの興味深いエピソードが存在します。たとえば、奈良時代に中国から伝わった楽曲の中には、「千年を超えてなお演奏される音楽」として世界的に珍しい例があります。その一つが「越天楽」で、この曲は現代でも結婚式などで耳にする機会があります。実は、平安時代からほとんど変わらない形で伝えられているのです。
また、雅楽の演奏に用いられる楽器自体も非常に特別です。篳篥のリード部分は竹製で、職人が一つ一つ手作りしています。このリードを作る技術は限られた人々にしか伝承されておらず、楽器のメンテナンスも一種の職人芸とされています。
さらに、雅楽には「音の祈り」という独自の考え方があります。たとえば、笙が奏でる和音は「天界」を表し、篳篥が地上、龍笛が天と地を繋ぐものとされています。このため、雅楽は単なる音楽ではなく、宇宙観や哲学を象徴するものと見なされています。
雅楽は現代においても生き続けています。宮内庁式部職楽部の演奏家たちが中心となり、皇室の儀式や国際的な行事でその音色を響かせています。また、京都の平安神宮や奈良の春日大社などでも定期的に雅楽の演奏が行われ、一般の観客もその音楽を楽しむことができます。
さらに、最近では雅楽の要素を取り入れた現代音楽やポップスが登場しており、若い世代にもその魅力が広がりつつあります。一部のアーティストは篳篥や笙を使用して、新しいサウンドを創り出しています。雅楽の静謐な音色が、現代のリスナーにも癒しや感動を与えているのです。
雅楽は千年以上の歴史を持つ、日本が誇る伝統芸能です。その音色には、時を超えた神秘性や深い精神性が宿っています。古代から現代まで、雅楽は人々の心を結びつけ、儀式や文化の中で重要な役割を果たしてきました。もし機会があれば、生演奏を聴くことで、雅楽の魅力をさらに深く感じることができるでしょう。雅楽は単なる音楽ではなく、時代を超えて受け継がれる日本文化の宝物です。
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