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伝統文化を大切にする心を育て、担い手になろう ――瑞安鼓詞研究活動に関する感想


06 October 2018 | By 応才昳 | SISU

夏休みに、中国伝統文化に関する調査活動を行った日本文化経済学院修士課程二年の皆さんの感想です。(執筆 応才昳さん)

グループ全員の努力と協力で、三日間に渡る温州における瑞安鼓詞研究活動は、円満に終わった。今回の研究活動を通して、「瑞安鼓詞」に関する歴史文化などの知識を学んだだけではなく、独特な芝居を鑑賞し、鼓詞芸術家と交流し、鼓詞の現状について貴重な情報も手に入った。また、短い3日間だったが、グループメンバーは積極的に話し合ってお互いに協力し、各々の仕事を順調に進め、友情も深めた。

他のグループと比べ、うちのグループは人数が多く、12人もいる。人数が多いほど強いと言われるが、最初はオンラインの交流が不便で、意見がそれぞれであるため、うまくいかなかった。したがって、オフラインの会議を開き、チームリーダーを選び、研究課題のテーマや一人一人の仕事を決めた。メンバーの中で、二人が温州出身で、世界遺産の瑞安鼓詞を研究テーマにしようと提案した。鼓詞は方言で出演するため、観衆が現地の中年以上の人に限られ、それに興味を持つ若い世代が少ないが、伝承には大きな困難がある。そのため、私たちは現地に訪れ、鼓詞の現状に関する調査を行い、多言語の宣伝ビデオを作り、国内外の人たちにその魅力を伝えようと思った。

71日、グループは上海発温州行きの高速鉄道に乗り、午後瑞安に到着した。まず、研究活動の日程を決めて、アンケート調査チームとインタビュー調査チームに分かれた。次に、各チームは分担する仕事の準備をした。

翌日、研究活動は正式に開始した。筆者の所属するインタビュー調査チームはまず瑞安文化館へ行き、館長にインタビューした。一方、アンケート調査チームの皆は瑞安の文化広場やショッピングモールなどでアンケートを配り、調査を行っていた。館長は熱心に私たちのインタビューに協力してくれて、毎年四、五組の大学生調査チームが瑞安に訪問し伝統文化について調査していることを教えてくれた。各学校が文化遺産の保護に極めて重要視している事がわかった。新しい文化館が建設中なので、旧文化館の展示室が開放されなかった。館長によると、文化館に展示されている項目は124個もあり、主旨は市民たちの文化遺産への熱情と思いを喚起し、若い世代に伝統文化の魅力を宣伝することである。無形文化遺産は物質ではなく、宣伝と継承発揚には伝承者が不可欠である。文化館は毎年伝承者にある程度の補助金を与えるが、一般的に多くなく、しかも芸術家のレベルによって異なっている。私たちは伝承の困難がどこにあるかを初めて認識した。非常に有名な鼓詞芸術家を除き、大部分の伝承者は収入が高くはないのである。

(インタビュー調査チームと館長)

この疑問を抱き、次の目的地――林光晩年宮へ向かい、夜の鼓詞上演を鑑賞し芸術家へのインタビューした。上演がまだ開始していなかったが、下には十数人の年寄りが集まった。アンケート調査チームは早速調査を始まった。しかし、ほとんどの年寄りは標準語が出来ず、温州出身のチームメンバーの通訳がなければ続けられなかった。大部分の観衆は中年の人、年寄りと小さい子供たちであり、若い人の姿がなかなか見られなかった。嬉しいことに、他の都市から来た若い人に会った。彼はここで初めて鼓詞に触れて、それから好きになってきてその魅力をしみじみと感じたという。

(林光晩年宮)

一方、瑞安曲芸協会会長及び有名な鼓詞芸術家の陳春蘭さんにインタビューして、鼓詞の現状への認識が一変した。会長によると、現時点では鼓詞が面する困難は観衆の不足ではなく、伝承者の不足だという。鼓詞の観衆は中年以上の人に限られると考えていたが、実はそうではない。この前、瑞安の鼓詞団体が招きに応じ、フランスのパリへ公演に行った。満席でしかも観衆はフランスの大学生たちであった。海外の観衆が上演の内容を理解できるように、現場で字幕と翻訳のスクリーンが設けられた。その結果、大成功をおさめた。さらに、会長は「今の若い人たちは鼓詞に興味を持っていないが、年を取ると、だんだん夢中になります。だから、鼓詞の観衆はいつでもいます」といった。伝承者の育成問題は最も心配すべき問題である。

(グループ全員と瑞安曲芸協会会長)

芸術家の陳春蘭さんも鼓詞の勉強は非常に辛い過程で、個人の資質が重要な要素であり、優秀な芸術家になるには大量の金と時間がかかると話した。現在、鼓詞の研修クラスもあるが、学生たちは学校の勉強に忙しく、一生懸命に鼓詞を学ぶことが無理であるため、上演の要求されているレベルに達する人はほとんどいない。この問題を解決するために、会長は学校がこれらの学生に優遇制度を提供すると提案する。当然子供たちの未来を心配する両親もいるが、会長によると実際に優秀な鼓詞芸術者は高収入の人だということである。一回の上演は数千元、さらに数万元の収入となる。有名な芸術者は毎年大量の招きがもらえる。インタビュー中、会長の話にも陳春蘭さんの話にも鼓詞への熱情と誇りがおのずから現れている。鼓詞芸術の力を感じ、まるで希望にあふれる鼓詞の未来を見たようであった。鼓詞の継承問題を解決するには宣伝力がもちろん重要であるが、皆の力を合わせてよい継承環境を作らなければならない。

(インタビューチームと芸術家陳春蘭さん)

(林光晩年宮の公演)

(陳春蘭さんの鼓詞公演)

研究活動の最後の日、インタビューとアンケートの資料をまとめた後、建設中の文化街を見に行った。新しい文化館もここに家を構える。入口には大きな看板が立っており、温州の各文化遺産が展示されている。人々は物質生活がますます豊かになる同時に、民族の根本である伝統文化を忘れるわけにはいかない。伝統文化を大切にする心を育て、担い手として伝統文化を継承し発揚することで、民族の誇りを持って世界に立つ。

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