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重陽節の民俗


31 October 2025 | By 武彦博 | SISU

重陽節は、重九節や登高節とも呼ばれる中国の民間伝統祭日で、旧暦の99日に当たります。『易経』では「九」を陽数と定めているため、二つの九が重なるこの日を「重陽」と言います。先秦時代の収穫祭を起源とし、歴史の流れの中で、多重の文化的意味を持つ民俗の祭事へと発展してきました。


 重陽節で最も中心となる民俗は何と言っても「登高」です。この時期は空が高く澄み渡り、金木犀の香りが漂う、山登りに最適な季節です。人々は親戚や友人と連れ立って山に登り、遠くを見渡します。これは身体を鍛える効果があるだけでなく、「步步高昇(出世する)」「災厄を遠ざける」という願いも込められています。この伝統は漢代にまで遡ることができ、当時の人々は99日に高い所に登れば災難を避けられると信じていました。現在でも、北京の香山や南京の紫金山などでは、この時期になると多くの人でにぎわい、独特の秋の風物詩となっています。


 重陽節と言えば茱萸。重陽節に茱萸を身につける習慣は唐代には既に広く行われていました。茱萸は「辟邪翁(邪気を払う老人)」と呼ばれ、人々は茱萸を香袋に入れて身につけたり、髪に直接挿したりし、その強い香りで寒気や毒気を払おうとしました。茱萸に対応して、菊は「延寿客(寿命を延ばす客人)」と称されます。古人は菊酒を飲むと長寿になると信じ、この酒を飲む伝統がありました。女性は髪に菊の花を挿して趣を添えることを好みました。これらの習俗は、古人の自然薬理への認識を反映すると同時に、健康長寿を求める素朴な願いの表れでもあります。
 中国語では、「糕」は「高」と発音が同じであることから、「重陽糕」はこの祭日に欠かせない食品です。米粉を蒸して作ったこの菓子には、ナツメ、栗、アーモンドなどが飾り付けられ、色鮮やかで甘く柔らかい食感が特徴です。場所によっては、ケーキの上に小さな五色の旗を挿し、登高の意味を代用させることで、山に登れない人々も祭日の雰囲気を感じられるようにしています。家族で重陽糕を分け合って食べることは、「登高」の習俗の巧みな転換であると同時に、家族の団らんと生活の幸福への願いも込められています。
 現代の重陽節は、「敬老節」という新たな意味付けがなされています。1989年、中国政府は重陽節を「中国老年節」と定め、この古い祭日に新たな命を吹き込みました。各地で敬老行事が展開され、若者は家に帰って高齢者と過ごし、社会全体で老人を敬い慈しむ伝統的美徳が弘められています。このような古今の融合により、重陽節は伝承の中で絶えず革新を重ね、伝統と現代を結ぶ文化的な絆となっているのです。

災厄除けや幸福祈願から、老人を敬い親に孝行するまで、重陽節の民俗活動は、中国人の健康への追求、自然への畏敬、団らんへの大切さ、そして伝統の継承を担ってきました。秋の気配が深まる頃、千年の時を超えて続くこれらの習俗は、今も今を大切にし、眼前の人を慈しむことこそが、伝統文化を継承する最良の方法であると、私たちに教えてくれます。

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