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歌舞伎町、そして「トー横キッズ」の向こう側
20 October 2025 | By 刘蕊 | SISU
東京で留学していたとき、ある精読授業で、先生は「トー横キッズ」という存在を紹介してくれた。学校も歌舞伎町にそこそこ近いので、せっかくだし少し見に行こうかと、放課後寄って行った。街でそのまま寝てたり、裸足で歩いたりしている群れが目に映るその瞬間、ああ、それがトー横キッズだと、なぜか一瞬で理解した。まさに「流離い」であった。

私はただ通り過ぎる人混みに押されながら、なぜか彼女たちと直接目を合わせることができなかった。視線を向けること自体が一種の冒涜になるような気がして、不毛だった。自分で言うのもなんだが、普段フェミニズム意識を常に持っていて、困っている女性にはできる限り手を差し出しているつもりである。しかしぞの時はなぜか、この街全体に蔓延る不気味な空気が、足をすくませた。加えて歌舞伎町もそんなに安全なところではないので、結局、私はただの「通りすがり」として、気づかないふりをして早足でその場を離れた。
あれから一年後、NHKニュースを見てるときに、ある記事がふと目にした。「新宿・歌舞伎町をさまよう少女たち 女性支援に同行すると…」。藍野美佳という女性のルポだった。同じ女性としてあの場所に立ち、藍野さんはカイロを手に声をかけ続けている。この一年間、あの場面が時折思い出されては、もやもやとした後悔の念を抱えていた自分にとって、この記事は実にキラキラしているといってもよいだろう。
第三者として、落ち着いて考える余裕ができた今、トー横キッズ、というよりガールズたちは、単なる非行少女ではなく、社会の歪みにより除外された存在であると思える。彼女たちはなぜ家に帰れないのか。問題の根本には、家庭、学校、社会の中で「安心できる居場所」を失っていることがある。家庭では親との不和や経済的困難、虐待、やネグレクト、至っては性暴力などで安心感を得られず、学校ではいじめや不登校、学業への挫折によって孤立しているであろう。さらに、社会全体からも「役に立たない存在」と見られる疎外感を感じ、頼れる大人がいない孤独な状況に追い込まれている。

そして、藍野さんがカイロを配るという行為の本質が、今になってようやく深く理解できる。これは、決して上から目線の救済ではなく、「あなたの存在を気にしている人もいるよ」という、静かで強いメッセージである。女性同士にしか分かり得る共感に基づくものであろう。冷たい社会に対し、このようなささやかな復讐、というより抵抗とつながりを積み重ねるという「Girls Help Girls」の行為こそが、フェミニズムの真髄ではないかと再び気付かされた。
あの日、私は何もできずに逃げ出した。でも藍野さんは、あの場所に留まり、支援行動を続けている。その違いは、多分「苦難を知っていると思う」か「苦難を知ろうとしている」かの違いであろう。似たような事態がまた発生した場合、今度私はどうするだろうか、少しずつ分かってきた気がする。
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