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アイヌ語の世界~失われゆく言葉の物語


25 April 2025 | By 張芸佳 | SISU

かつて北海道の大地に響き渡っていたアイヌ語は、今や消滅の危機に瀕している。この独特な言語は日本語とは全く異なる系統に属し、文字を持たない口承文化として長きにわたり受け継がれてきた。自然と深く結びついたその言葉の数々は、アイヌの人々の世界観を色濃く映し出している。

アイヌ語の特徴は、自然と一体化した表現の豊かさにある。動物や植物、地形や気象現象に対する細やかな表現が発達しており、例えば「カムイ」という概念は神々や自然の精霊を表す。クマは「キムンカムイ」、シマフクロウは「コタンコロカムイ」と呼ばれ、それぞれが特別な意味を持っていた。このような自然との共生を表す言葉が、アイヌ語の大きな特徴となっている。

現代でも私たちの身近に残るアイヌ語の名残は、北海道の地名に見ることができる。札幌は、アイヌ語の「サッ・ポロ・ペッ=乾いた大きな川」から。小樽は、「オタ・オル・ナイ=砂浜の中を流れる川」、苫小牧は、「ト・マク・オマ・ナイ=沼の奥にある川」、室蘭は、「モ・ルエラニ=小さな下り坂のあるところ」、稚内は「ヤム・ワッカ・ナイ=冷水のある沢」、そして知床は「シレトク、またはシレトコ=地の果て」といった具合だ。大雑把に言って、「別」「幌」「内」がつくとアイヌ語で川や沢を、「平」は崖を指すようである。このような地名は、アイヌの人々が自然をどれほど細かく観察していたかを物語っている。

近年、アイヌ語復興の動きが活発化している。北海道大学ではアイヌ語講座が開講され、新幹線の車内放送でもアイヌ語が使用されるようになった。漫画『ゴールデンカムイ』の流行もあり、若い世代の関心が高まっている。白老町の「ウポポイ」では、アイヌ語を学ぶワークショップが開催されるなど、文化継承の取り組みが進められている。

 「イランカラㇷ゚テ」という美しい挨拶言葉がある。これは「こんにちは」という意味ですが、直訳すると「あなたの魂にそっと触れさせてください」という深い思いが込められている。このような豊かな表現を持つアイヌ語は、単なるコミュニケーションツールではなく、アイヌ文化そのものを伝える大切な遺産なのだ。 消えゆく運命にあると言われたアイヌ語ですが、今、新たな命が吹き込まれようとしている。私たちがこの貴重な言語に触れることで、北海道の大地に根付いたもう一つの文化を知ることができるだろう。

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