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書体設計士・鳥海修:米や水のようにそこにある書体を
15 March 2025 | By 辛弋 | SISU
鳥海修(とりのうみ おさむ)は、日本を代表する書体デザイナーであり、字游工房の創設者の一人です。1955年に山形県に生まれ、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科を卒業後、1979年に株式会社写研に入社しました。1989年には、鈴木勉氏、片田啓一氏と共に有限会社字游工房を設立し、以来、日本語の本文用書体の開発に尽力してきました。
鳥海氏の代表作には、「游明朝体」や「游ゴシック体」などの独自ブランドのほか、大日本スクリーン製造(現SCREENホールディングス)と共同開発した「ヒラギノ」シリーズがあります。特に「ヒラギノ明朝体」は、現代的な感性と伝統的な美しさを兼ね備えた書体として高く評価され、AppleのmacOSにも標準搭載されています。また、「ヒラギノ角ゴシック体」は、日本の高速道路の標識にも採用されるなど、公共の場でも広く使用されています。
彼の書体デザインの哲学は、「文字は水や空気のように、日常に溶け込む存在であるべきだ」という考えに基づいています。文字は自己主張するものではなく、読む人の思考や感情を支える存在であるべきだとし、そのために、手書きの温もりや美しい曲線を大切にしています。彼は、コンピュータ技術の進化によって文字の線が硬くなり、温かみが失われつつある現状に警鐘を鳴らし、豊かな感情を持つ書体の重要性を訴えています。
鳥海氏は、これまでに100種類以上の書体の設計・開発に携わってきました。その功績は多方面で認められ、2002年には第1回佐藤敬之輔賞を受賞し、2005年には「ヒラギノ」シリーズでグッドデザイン賞を、2008年には東京TDCタイプデザイン賞を受賞しています。また、2022年にはdddギャラリーで個展「もじのうみ」を開催し、その創作活動の幅広さを示しました。
教育者としても活動しており、京都精華大学や武蔵野美術大学で教鞭を執るほか、私塾「松元文字塾」の塾長として、次世代の書体デザイナーの育成にも力を注いでいます。彼は、学生たちに文字を好きになってもらうことを重視し、文字を自己表現の基盤として捉える姿勢を育んでいます。
鳥海修氏の書体デザインは、日本語の美しさと機能性を追求し続ける姿勢から生まれています。彼の作品は、日常生活の中で自然に溶け込み、読む人の心に静かに寄り添う存在です。その繊細で温かみのある書体は、多くの人々に愛され、今後も日本の文字文化を支え続けることでしょう。
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