「ちいかわ」をご存じでしょうか。これは日本のイラストレーター・ナガノによる漫画作品「なんか小さくてかわいいやつ」、通称「ちいかわ」です。2020年には、Twitterの単独アカウントが開設され、漫画作品「ちいかわ」として正式に連載がスタートしました。2022年4月からはフジテレビ系の「めざましテレビ」としてアニメ化され、幅広い世代から人気を集めるようになりました。

ちいかわに登場するキャラクターには、怖がりで泣き虫ながら、優しい性格を持つ主人公の「ちいかわ」をはじめ、洞窟で生活し、明るくポジティブな性格の「ハチワレ」、「ウラ」「ヤハ」など大声でよく叫ぶ「うさぎ」といった、ちいかわの仲の良い友達と、常にかわい子ぶっている「モモンガ」や、自作のポシエットやパジャマを売っている「鎧さん」などがいます。

さまざまな企業とのコラボ商品は後を絶たず、日本だけでなく、中国のソーシャルメディアにおいてもトレンドとなっており、「即売り切れで買えなくてショック」といった声もあるほど、現在、世界中で大人気です。もともとキャラクター商品に一切関心がなかった筆者も、値段も気にせず買ってしまうほど夢中になっています。

この作品は、ファンシーで平和な世界に生きているかのように見えるかわいい子たちの純粋な友情や幸せを描いているように見えますが、実際には現実世界に似た側面を持っています。「草むしり」や「討伐」などの仕事で生計を立てなければなりません。「草むしり検定」などの資格試験に合格することは「報酬」のアップにもつながることもあります。家に突然怪物が襲いかかってきたり、友達が人質として捕らえられたり、討伐で負傷したり、頑張っても報われなかったりするような、人間の生活に共通する不条理さを描いたシビアな設定が、多くの人々の共感を呼び、心を惹きつけます。

しかし、非常にかわいらしく、穢れを知らず、性善説の極みに生きているような子達が、どのようなひどい目に遭いながらも、厳しい現実やさまざまな困難に直面しても、自分の生まれや貧困を憎むことなく、諦めずに健気に生き続ける姿には、心を打たれます。また、世の中は過酷なことだらけですが、幸せはいつもその中に、すぐ隣に存在しているモノであると、改めて認識でき、元気と勇気をもらい、疲れた心を癒す素晴らしい作品だと思います。

まさに「社会現象」といえる爆発的な人気を誇る「ちいかわ」は、子供だけでなく、大人たちにもおすすめしたいと思います。老若男女を問わず、見た人すべてがその魅力に取りつかれることでしょう。