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「搶」の文化について


06 February 2025 | By 范睿昀 | SISU

「やっと期末試験が終わったね。いつ帰る?」

「鉄道のチケット、あっという間に奪われちゃって、帰れないよ。」

「奪うなんて、信じられない。」

「へぇ、知らない?中国語で『搶票』ということ。」

これは先日、オンライン読書会で日本人のネット友達ユイさんとの会話だった。いろいろ説明してやっと「搶」の意味を理解してもらった。そして、「まるで戦争みたい。」というコメントももらった。これをきっかけに、中国の「搶」文化の独特さに気づいた。

資料を調べてみると、日本ではいわゆる「搶票」、つまり「チケットを奪う」ということが、「キャンセル待ち」と言われているそうだ。中国では、鉄道や飛行機などのチケットの予約は、スマホで行うことが多い。でも、空席がなくなって、キャンセル待ちしかできないこともある。そういう場合は「搶票」になる。「搶票」となると、成功確率までアプリに表示されていて、みんなはチケットを入手するように悪戦苦闘している。それに、チケットだけでなく、「バイキングのお目玉料理」「能力試験の席」などの場合も、私たち中国人は「搶」、つまり「奪い合う」までになるのだ。

さて、なぜ「搶」文化はこんなに中国人に好まれているのか。

考えてみると、相手に迷惑をかけないようにする「引く」文化である日本文化に対して、中国文化は「押す」文化といってよかろう。飛行機のチケットもお目玉料理も、中国人はいつも自ら積極的に自分の目指すものを「取りに行く」ことから、中国文化には「押す」、つまり「自ら向こうに力を加える」という根底がある。こういう「押す」性格をもってこそ、何事にも真剣に取り組んで、あらゆるチャンスを掴むことによって、中国は猛スピードで発展する姿を世界に見せているのではないか。

しかしながら、そういう「搶」文化の流行に伴って、若者の「インボリューション」、大学入試などでの不正行為、留学機関の詐欺との問題が次々と生じてきた。本来、気軽な「搶紅包」(ラッキーマネー争奪戦)が示すように、「搶」の奥底には、幸せな生活への念願が根付いている。だが、「搶」は恩恵をもたらす一方で、人生をハードゲームにしてしまうようなものを孕んでいるようだ。

こうした一連のケースの中に、失敗に対する不安さがある。その不安さが、自分の気持ちを容易く動揺させる。それで、そういった難問を解決するために、「搶」に際して、その場に立ちすくむのではなく、他人と激しく競うのでもなく、自分を変えるために努力することと、自分の限界を受け入れることとの間でバランスを探ることが大切だと中国の若者は考えている。そして、自分の内面を探り、自分は何がほしいのかを知っておいて、その自覚をもって、心に自信という力を注ぐことも必要なのだ。

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