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冬の雨


03 January 2025 | By 武 | SISU

  • 作者自撮り

  昨日からひと晩中しとしと降り続いている雨が、とうとう今日の午後まで降ってきた。本来ならばたった一日の雨ぐらいでまったく何の変哲もないようだが、さっき晴れたばかりのこの雨には、しかし私にとって特別な意味、あるいは一味違ったものがある。12月に入って一気に冷え込んだ上海、潤いの帯びたやや冷たい風が冬の気配を運んでくる。そして1211日の今、間違いなくついさっき鉛色の空から落ちていたのは粒々の雫、一縷々々の細い糸であった。12月中旬の今、空から降ったのは間違いなく、冬の雨であった。

  河南省と山西省の境にある地域で生まれ育ってきた私は、今年の9月から上海外国語大学に入学し、初めて上海という南にある海浜都市に住むことになった。従来雨の話になると、冬に関する記憶はほとんどない。故郷の冬といえば、いつも乾燥していて、とにかく寒いという印象だ。シベリア高原から訪れる寒波が空っ風と化し吹き付け、川を凍てつかせ樹々を枯らし、無論毎年もそうだが、降水は一滴たりとも、もたらそうとはしない。そして本当に空から何か降ったというのなら、たいていそれは雫や糸のような水の形より、透き通った真っ白な雪の結晶のほうであろう。

   だから、この上海外国語大学のキャンパスで見た、空から降り続く冬の雨は、実に私にとって今まで未体験の、ひと味違った光景である傘を差して外を歩いてみると、両目に映るすべてが朧気な形になり、鼻先に当たる、土や落ち葉の濡れた匂いも、春の暖かさや、夏の蒸し暑さ、秋の爽やかさとは違った、冬ならではの冷たくて淋しい感触を与える。淋しいかと思うと、まさにその通り。静かで、落ち着いていて、雨のささやきしか何も聞こえない。普段なら人で賑わう運動場も庭園も、この雨の中にただ静かに佇んで、静かに濡れたまま感傷的な空気に溶け込む。

「漁市孤煙嫋寒碧、水村殘葉舞愁紅。」なぜか柳永のこの一句を思い出した。別に魚を取るような場所でなければもちろん水際の村でもないキャンパスだが、その雰囲気だけは確かに同じようなものだ。冬の雨には、確かに感傷的なものがある。雪の結晶とは違った、露と霧と雫とが共に織りなす冷たく儚い夢がある。「It’s hard to hold a candle,in the cold November rain.」「Nothing lasts forever,even cold November rain.」ガンズ・アンド・ローゼズの『November Rain』の旋律が心の中で響いてきた。曲の中の、冷たい十一月の雨が、現実の十二月に降り注ぐような、あわれでやるせない、それなのに美しい感傷が、確かにこのじめじめした冬の雨にあるのだ。

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