皆さんはアテンションエコノミーという言葉を聞いたことがあるだろう。簡単に言えば、我々のアテンションがすでに経済的価値を持つようになったことを指している。アテンションエコノミー時代において、我々は毎日否応なしに大量な情報に巻き込まれてしまう。例えば、朝目を覚めると、スマホで時間を確認したいだけだが、いつの間にか飛び出したメールとかニュースとかに目を向けてしまい、結局さっき何をやるつもりだったかもすっかり忘れてしまった。こういう様なことはしばしば起こるのだ。数年前の人とは違って、今豊かな情報社会に暮らしている我々は、あまりにも豊かし過ぎた情報にかえって困るに至るのである。

　ここ数年間でよく耳にした言葉「断片化された時間」はこの背景の下で生まれたのだろう。スマホを持つと我々はアテンションがスマホに移され、メールをチャックしたり、ゲームをやったりしているうちに時間が流れていき、気づいたらもうスマホに数時間費やした。このように一つのことに集中しようとしても、なかなかできない人がたくさんいる。それはアプリ開発者が人間を怠け者とうまく把握したからだと言えるか、それともどうしても利益のため人々のアテンションを奪おうとして色々工夫した結果と言えるか、よくわからない。面白い話だが、近頃人々のアプリへの依存度を減らすためのアプリ、時間管理を良くするためのアプリまで開発された。なんだか、まるでアプリなしでは生活できない世界に置かれているようだ。