今年の春から東京外国語大学で短期留学してきた張家捷さん（日本語専攻修士一年）の留学体験記。

月日の経つのは早い。あと二週間ぐらい、春学期が終わる。私の留学生活にもそろそろ休止符がつく。東京外国語大学での3ヵ月の留学生活は、一生忘れないに違いない。振りかえってみると、日本に来たばかりの時、誰も知らなくてさびしい日々を過ごしていた。だんだん新しい環境に馴染んで、新しい友達ができて、毎日に新しいチャレンジする。

日本の授業の形式が中国と違って、おもしろいと思う。中国では、授業の時、先生が教えて、学生が聞くという形が普通である。日本では、学生がグループになって、自分で問題を解決することという形式がよくある。最初はすこし困っていたが、だんだん慣れてきた。こういう形式は、学生の自主性を生かして、学生の勉強力も向上させて、本当にいい形式と思われる。グループディスカッションのほか、全体発表や、グループ発表や、ポスター発表などいろいろな発表もよくある。中国での授業には発表があるとはいうものの、それほどではない。

発表の中で、一番印象的なのは自分の国の伝統的な楽器を紹介するというテーマである。私は中国の三弦という伝統的な楽器を紹介した。三弦は、文字通り三本の弦がある。日本の三味線とすこし似ている中国の伝統的な楽器である。長い歴史を持って、中国の古典的な曲によく使われている。ほかの中国人の学生は、二胡と古琴を紹介する人もいた。

発表の時も、三弦の写真をみんなに見せながら説明し、各国の留学生は、自分の国の伝統楽器を紹介したり、音楽を聞かせたりした。日本人の学生たちも、日本の筝を紹介してくれて、いい勉強になった。

授業の中で、欧米の学生の会話が中国の学生より上手で、中国の学生の文字、文法が欧米の学生よりうまいということがわかった。日本の漢字と中国の漢字が似ているところが多いから、中国の学生が文字と文法が上手と思われる。

授業のほか、いろいろな活動にも参加した。留学生支援会の書道の授業も取った。一週間一回で、先生が優しいし、一緒に書道を学ぶ日本人の学生たちが親切にしてくれるし、すごく楽しかった。書道の先生が、何度も中国を訪れたことがあるから、中国の書道にも興味深い方だった。

留学生支援会により、留学生と日本人の学生が一緒に歌舞伎を見るという活動も行った。「連獅子」という演目を見て、あとはみんなが一緒に国立劇場でコーヒーとケーキーを楽しみながら交流した。先生も歌舞伎についての歴史と知識を教えてくれたり、みんなも自分の感想を話し合ったりしていた。私はみんなに、中国の京劇を紹介する。現在の日本の歌舞伎は、若者の注目を集めるために、アニメの要素を加えている。中国の京劇はそういう点を学び、新しい要素を加えて、若者にも喜ばれるはずだろう。今回は歌舞伎を初めて見て、さすが日本の伝統的な芸能で、心が震撼させられた。歌舞伎を通して、日本への理解も一層深まった。

中国語専攻の日本人の学生と中国人の留学生たちは毎週の日曜日に、勉強会をやった。私も参加したことがある。みんなは中日のいろんな話題を中心にして、交流したり、分析したりした。お互い学び合い、一緒に進歩する。知らないうちに、日本人の学生との絆がますます深くなった。

三ヵ月の留学生活があっという間に終わる。日本に来て、日本人と本当に接しているうちに、自分が学んだ日本語を場面に合わせて適切に使うのは難しいと思う。どんな場合にどんな言葉を使うかちゃんと見分ける必要があると実感している。また、日本人の若者の対話を聞くあるいはテレビを見ると、日本語が変わっていることが分かる。たとえば、新しい言葉の出現、略語の使用、単語の使い方や意味の変化、外来語の大量使用、いろいろある。それに対し、私の日本語は論文を書くのに大丈夫だが、話すとちょっと硬く古く感じられる。論文を書くための言葉をいっぱい覚えたが、生活に必要で簡単な日本語をうまく生かすことができない。これらの問題を発見し、これから日本語を勉強するのにどう努力すればいいかちょっと心当たりがあるようになった。学業だけではなく、生活上もいろんなことを学んだ。自分の人生にとって大事な体験で、多くの面で勉強になり、成長できたと思う。